スキャンした書類から起こした行に、勘定科目・補助科目・費目・取引内容の4層を自動で付けるための設計。顧問先の実データで、いまの分類がどこで混線しているかを数え、それぞれの層の役割と、科目ごとの切り方を決める。
いま動いている3社のスプレッドシートと、前任者が弥生で付けていた前期の帳簿、弥生に学習させてある辞書10社分。損益の科目に付いている行だけを数えた。
307種の補助と129種の費目は、どれも誰かがその場で名付けたもの。名付けた時の基準が層ごとに決まっていないので、次の6つの混線が起きている。
どの層も「何に答える層か」が決まっていない。だから名付けるたびに、その時手元にある情報(相手の名前、確認の状態、用途、物の種類)がそのまま名前になる。段階を4つ用意しても、各層が答える問いを1つに固定しない限り、層は混ざる。
層ごとに問いを1つだけ持たせる。問いが決まると、その層に入れてよい名前と、機械で確かめる検査が決まる。
| 層 | 答える問い | 決まると何が決まるか | 誰が決めるか | 機械で確かめること |
|---|---|---|---|---|
| 勘定科目 | 決算書で、何の費用として表示するか | 決算書の行 | 補助から自動 | 会社の科目マスタにある名前だけ |
| 補助科目 | 月末・年末に「合計いくら」と言う必要があるのは、どのまとまりか | 申告調整・別表・按分・残高の数字 | 費目から自動。飲食だけは金額と人数で分かれる | 状態の語が無い。相手で切る科目以外に相手名が無い |
| 費目 | 何にお金を払ったか。現物や明細に書いてある言葉で | 科目・補助・税区分 | 読み取り+辞書 | 1つの費目の中で税区分が割れない(店内・持ち帰りを除く) |
| 取引内容 | この1件で、具体的に何を、誰と | 摘要と証拠 | 原文のまま | 分類しない |
実データがそのまま示している。補助1人飲食の中で10%と8%が1,131行対721行混ざっているのは困らない。店内か持ち帰りかは1件ごとに変わる事実で、税区分の列が持っているから。
一方、費目サプリ・医薬品の中で8%が71行、10%が79行に割れているのは困る。費目から税区分が決まらず、毎回人が直している。医薬品(10%)と健康食品(8%)は性質が違うので、費目を分ければ1つに決まる。
同じ形で割れている費目は歯科・医療(保険診療の非課税と自費の10%)、物件名が入った費目(家賃・保証料・駐車場が混在)など。店内・持ち帰りの違いを除いて、税区分が割れている費目に入っている行は768行。
補助は元帳で合計と残高が出る単位。合計が必要な場面は次の5つで、上の4つは申告や決算で数字が要るので分けないと作れない。5つ目だけが会社ごとの好み。税区分は理由に入らない(費目の役目)。
| 理由 | 何の数字に使うか | その科目の補助の切り口 | 例 |
|---|---|---|---|
| 損金 | 申告書で足し戻す、または損金にできる額を計算する | 損金の扱いが違うまとまり | 接待交際費の飲食費とそれ以外。租税公課の延滞税。保険料の資産計上分 |
| 別表 | 別表・支払調書に明細と合計を載せる | 明細を出す単位 | 少額減価償却資産。外注費・報酬は支払先ごと(支払調書) |
| 按分 | 自宅兼用・社宅の按分率を合計にかける | 按分率が違う種類 | 水道光熱費の電気・ガス・水道。通信費の携帯・回線 |
| 残高 | 貸借対照表の残高を相手ごとに合わせる | 相手 | 未払金はカード会社。仮払金は支払先。地代家賃は物件 |
| 管理 | 月次で見たい。申告には使わない | 会社が見たい単位 | 旅費交通費のタクシーと電車。会議費の飲食と会場 |
こうすると、補助の切り口は科目ごとに理由から1つに決まる。外注費を支払先で切るのは支払調書のため、租税公課を税目で切るのは損金にならない税を足し戻すため。相手で切るのが正しい科目(外注費・地代家賃・未払金・仮払金)と、相手で切ってはいけない科目(消耗品費・新聞図書費)の区別もここから出る。
理由が損金別表按分残高の補助は、どの会社でも同じ名前にして共通マスタに置ける。管理の補助だけを会社ごとのマスタに置く。
左で科目を選ぶ。件数は今回調べた実データの行数。費目の横は、その費目で決まる税区分。
人数・同席者・店内か持ち帰りかを層(補助や費目の名前)に入れると、組み合わせの数だけ名前が増える。列に置けば増えない。しかも大半は、行ごとに人が入れなくてよい。
| 列 | 何のため | どこから埋まるか | 人が入れる回数 |
|---|---|---|---|
| 店内/持ち帰り | 10%か8%か | 読み取り(レシートの軽減税率の印・To Go の表記) | 0 |
| 単価 | 少額減価償却資産に当たるか | 読み取り | 0 |
| 支払先 | 辞書を引く鍵・摘要 | 読み取り | 0 |
| 国外事業者か | 税区分(海外のサービス) | 相手の辞書 | 相手ごとに1回 |
| 源泉徴収の要否 | 源泉徴収・支払調書 | 相手の辞書 | 相手ごとに1回 |
| 物件・拠点 | 按分・物件ごとの合計 | 相手の辞書 | 相手ごとに1回 |
| 按分率 | 按分 | 会社の設定(補助ごと) | 会社ごとに1回 |
| 対象者(全員/役員のみ) | 福利厚生費として認められるか | 会社の設定 | 会社ごとに1回 |
| 人数 | 1人当たりの飲食費 | 人 | 1枚1万円を超える飲食だけ |
| 同席者 | 社外の人がいたか・相手先の名前(書類の要件) | 人 | 同上 |
| 目的 | 1人の飲食・出張の説明 | 人 | 方針次第(09の2) |
実データの飲食 2,276行を、1枚の金額で並べた。
1枚1万円以下なら、何人で食べても1人当たり1万円以下が確定する。人数を聞く必要があるのは、1枚1万円を超える304行(件数の13%)だけ。ただしそこに飲食費の61%のお金が集まっている。
いまの共通マスタは、1枚1万円を超えたら人数を見ずに接待飲食にしている。安全側だが、複数人で1人1万円以下の会食まで交際費に入る。304行の中にどれだけあるかは、人数が無いので分からない。
今回の集計で見つかった、全社に効いている共通の費目科目マスタの誤り。直すかは09の4で決めてほしい。
| 費目 | いま | 正しくは | 実データ |
|---|---|---|---|
| サプリ・医薬品 | 軽減8%に固定 | 医薬品・医薬部外品は10%、健康食品は8%。費目を2つに分ける | 150行中79行が10%に手直し済み |
| 歯科・医療 | 非課税に固定 | 保険診療は非課税、自費診療は10%。費目を2つに分ける | 173行中30行が10% |
| 車両関連 | 「オートローン」「ローン」を車両費に当てる | ローンの返済は費用ではない。元本は借入金、利息は支払利息 | 車両関連 14行・133万円 |
| 飲食代 | 1枚1万円超を人数を見ずに接待飲食 | 人数の列で1人当たりを出して決める | 304行 |
足すと1人当たりの金額が自動で出て、接待飲食の1万円判定が機械でできる。人が入れるのは1枚1万円超の飲食だけで、実データでは304行。
補助「1人飲食」は1,907行・719万円。うち持ち帰り(8%)が721行。税務の判断なので推奨は出さない。選択肢だけ置く。
共通マスタは全社の読み取りに効く。直す前に控えを取り、直した費目に当たっている既存の行は確認の状態を「未確認」に戻す。
補助「AMAZON」1,195行、状態の語が入った補助197行、補助「1人飲食」1,907行、表記の揺れ。02と03が決まってから、補助ごと一括で付け替える。控えを取り、戻せる形でやる。
判定基準の出所(2026年9月18日 確認)
法令で決まる金額と期限は改正で変わる。改正の時期に一次情報で見直す。集計は ツール/会計/勘定科目の分類設計/scripts/実データ集計.py で出し直せる。